これまで何度かご案内しておりますが、2025年11月に「高齢者等終身サポート事業」の業界団体が設立されます。併せて、健全な業界の発展を目的に勉強会も開催されております。その勉強会ですが、先月15日に「身寄りのない方の医療行為の同意等」というテーマで開催され、参加いたしました。そこで学んだことを情報が必要な方へお届けしたいため、私たちなりにまとめた内容ですが共有させていただきます。
医療同意に関する基本方針
医療同意に関しては、次の4原則がある。①家族が本人意思を推定できる場合は尊重し最善の方針を取る、②推定できない場合は家族等と協議して最善方針を決定し、状況変化に応じて繰り返す、③家族不在や判断を委ねられた場合は医療・ケアチームが最善方針を取る、④協議内容は都度記録する。医療同意は本人の一身専属権であり、第三者に権限はない。成年後見人には契約、身上保護、意思尊重、家族等との連絡調整などが求められるが、医療機関による同意書の強要は認められない。
意向表明文書(ACP)の現状と課題
全国約400の高齢者等終身サポート事業所への調査(回答139)では、7割が医療行為の意向表明文書(ACP)を扱っていたが、そのうち40%がガイドラインを未認知であった。意向表明文書は本人の意思に基づくことが前提であり、高齢者等終身サポート事業の契約時に作成を強制すべきではない。作成は利用者の希望に応じて支援し、定期的な見直しが必要である。作成時はチェックリスト依存を避け、価値観や人生で大切なこと、終末期の希望、意思決定の方法なども記載し、緊急連絡先を明確化することが重要。記載内容は具体的にしないと、医療現場で誤用される恐れがある。
現場における対応と課題事例
家族の有無や本人の判断能力の有無によって対応は異なる。法的権限がない高齢者等終身サポート事業者が医療同意の署名を求められる事例も少なからずあった。契約直後に利用者が急変するケースもあり、事前に医療における意向確認の重要性が指摘される一方で、心理的負担や強制になる懸念もある。意向は時間とともに変化するため、定期更新と関係者間での共有が不可欠である。
今後の方向性と期待される役割
勉強会では、ACPを文化として早期から定着させる必要性が強調された。業界団体はモデルケースを作成し、国や地域と連携して普及を進める方針が示された。また、病院や自治体との協働を深め、事業者は本人の意思を引き出す継続的な対話を行い、その意向を医療現場に正確に伝える役割を担うことが求められる。これらの取り組みにより、現場での混乱を減らし、利用者の希望に沿った医療提供体制の確立が期待されている。
以上が情報共有となります。私たちはご契約者さんに対して、終身にわたってサポートしていくため、医療機関との関わりが必ず出てきます。ご契約者さんの家族の代わりを担う存在ですが、各分野の方々とも連携し合える存在になりたいと思っております☺ ※本記事の掲載情報に誤りがございましたら、どうぞご容赦ください
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(概要)身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインについて.pdf(899.9KByte)
身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン.pdf(2.1MByte)
「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」に基づく事例集.pdf(2.1MByte)
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