これまでもご案内しておりますが、2025年11月に「高齢者等終身サポート事業」の業界団体が設立されます。併せて、健全な業界の発展を目的に勉強会も開催されております。その勉強会ですが、今月1日に「高齢者等終身サポート事業者に求められる寄付の倫理」というテーマで開催されました。
結論から言いますと、業界団体の考えとしては、原則寄付や遺贈は受けるべきではないというスタンスですが、禁止とはしない考えです。但し、寄付や遺贈を受ける場合は適切な手順を踏むこと・いただいた資金に透明性を持たせることで認めることが出来るとの意見でした。
折角なので、私たちの寄附に対する姿勢をお伝えします。現時点では、私たちは寄附や遺贈を受けつける方針です(※勧誘はしません)。いただいた寄附金は全額、資金を工面することが難しい方への資金に当てます。「寄附をしたら、同じような境遇の方のために使って欲しい」というご意見の方も少なからずいらっしゃいます。そのような循環を生むことは、決して悪い事ではないと思います。
但し、この事業が公的サービスとなった場合は、行政等が主体となってサービスが展開されていくため、そうなれば「寄附を受け取らない方針」に変わるかと思います。
今回のテーマはマニアックなので、先に感想を述べました。福祉事業に従事されている方は関わりのある話かもしれません。もし勉強会の内容に興味がございましたら、私たちなりにまとめた内容となりますが、下の記事もご覧になってみてください。
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勉強会テーマ
「高齢者等終身サポート事業者に求められる寄付の倫理」
高齢者等の支援において、財産管理や死後事務と並んで「遺贈・寄付」の取り扱いが避けられない課題となっている。一方で、依存関係にある利用者からの寄付を受領することは、倫理的・法的に問題が生じやすく、社会的批判や訴訟リスクにつながるため、その適正な在り方を検討する必要が強調された。
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講師講演の要点
(1)A氏(ファンドレイジングの観点)
• 欧米では寄付者の権利宣言や行動基準が整備されており、倫理規範の普及が進んでいる。
• 日本では制度整備が遅れており、特に福祉分野では基準が曖昧である。
• 利用者をターゲットとした寄付勧誘は「倫理的に不適切」とされる。
• 不当勧誘の防止のみならず、炎上や信頼失墜といった レピュテーションリスク に注意を払う必要がある。
• 寄付は団体に対する『信頼』に基づいて成り立つため、不適切な対応は長期的に大きな損失を招く。
(2)B氏(司法書士・法的観点)
• C市養護老人ホームにおける死因贈与契約トラブルを紹介。裁判所は契約を「無効」と判断し、理由として以下を挙げた:
• 施設とNPO法人の癒着
※施設長=C市部長の部下
※NPO法人代表(高齢者等終身サポート事業)=C市部長の妻
• 利用者の判断能力低下の利用
• 利益相反行為(財産管理者が受益者となる構造)
• 契約文書の不備・不明確さ・士業等の専門職介入無し
• 公序良俗違反(過大な贈与による暴利)
• 海外の事例(英・米・独)では、介護施設や従事者が利用者から寄付を受ける行為を厳格に制限している。
• 日本でも2022年に「不当寄付勧誘防止法」が制定され、弱者保護と自由意思のバランスが法的に重視されるようになった。
• 今後は法制度の未整備部分を補うために、業界自主ルール・ガイドラインの策定が必須である。
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議論の方向性と倫理原則
• 契約報酬と寄付は明確に区別する。
• 依存関係にある利用者からの寄付は受け取らないことを原則とする。
• 本人の自由意思を担保するために、利害関係のない第三者(公証人、弁護士、司法書士等)の中立確認を必ず導入する。
• 寄付を受領する場合でも、社会的儀礼の範囲を超えるものは避ける。
• 自主的なガイドラインを策定し、組織の透明性・説明責任を果たすことが信頼につながる。
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倫理とリスク管理の重要性
• 利用者を寄付対象とする発想自体が「勧誘」に当たるとの認識が示された。
• 福祉専門職の行動規範にも「利益相反となる場合は援助関係を終了すべき」と明記されている。
• 炎上や社会的批判(例:宗教団体問題、助成金の不適切利用疑惑など)が寄付団体全体に波及する危険がある。
• 団体は「受け取る寄付」よりも「受け取らない寄付」を明確に定めることで、信頼維持と事業の持続性を確保できる。
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結論・メッセージ
• 「利用者の財産を目的にしない姿勢こそ福祉の誇り」
• 利用者の自由意思を尊重しつつ、事業者は一定の距離を保ち、寄付や遺贈に依存しない経営を心掛けるべきである。
• 倫理遵守と透明性の確立が、利用者の安心感と業界全体の信頼性、そして事業の持続可能性を保証する。
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※本記事の掲載情報に誤りがございましたら、どうぞご容赦ください

